「ヤクザの実戦心理術―なぜ彼らの言いなりになってしまうのか」を読んでの感想 ※ネタバレあり

「てめえ、このヤロー!」と拳銃を弾けば娑婆とはオサラバ。あたら人生を棒に振ることになる。そこで現代ヤクザは、暴力よりも言葉を磨く。服装で、目配りで、きわどいレトリックで相手を意のままに操り、ドツボに追い込むのだ。言葉と心理学のプロフェッショナルである天才パフォーマーたちのギリギリノウハウを全面公開(Amazonより拝借)

本を読んだ感想

読んだ感想はヤクザの方への見方が変わりました。
そしてヤクザの方は頭が良い上に、凄く勉強家だということを知りました。

例えばです。
私は以前から、何故ヤクザの人というのは怖い形相をしているのかな?と思っていました。
やはり環境がそのような外見にさせてしまうのかなと。。

ところが本の内容によりますと、自分で鏡の前で練習をするらしいんです!
どうやったら怖く見えるのか、色々な顔を鏡の前で作って、いかに怖く見えるのかの研究をした上での顔つきらしいんです。

あるヤクザの方と作者の方がお話しをするために待ち合わせをしたところ、目の前で色付きの眼鏡を外したそうなのです。
そうしたら、あまり思ったよりも怖くないお顔立ちだったらしくて、お話しを伺ったところ、自分でもそう思い、人相学の本を購入して勉強をしたそうです。
そして、その方のお顔立ちはパーツが少し中央より離れていたのかな?そういう顔の人は眼鏡を掛けたら顔が締まると書いてあったそうで、眼鏡をかけてみたら確かに印象が変わったのですが、目指しているところはインテリとかに見えることではないので、色付き眼鏡にしたそうです。
そして、それでも何かまだ威厳?が足りないと思い、他にも色々と調べてみたらリンカーン大統領に辿り着いたそうです。
リンカーン大統領も元々はとてもシンプルなお顔だったそうなのですが、見え方を変えるためにお髭生やしたそうで、そのヤクザの方もそれにあやかってお髭をたくわえて、自ら色々と研究を重ねて外見を作り上げたらしくて・・・。

お洋服や装飾品に関しても、いかに周囲からお金を持っていると思われるかが肝心らしいです。
理由として、オイシイ話はお金を持ってそうな人のところに来るという心理があるかららしいです。
実際の例として、普通の服装の人と、お金をいかにも持ってそうな人、商談を持ちかけるとしたらどちらに声を掛けますか?

言われてみたら、確かにお金を持っていそうな方に声を掛けるのが普通だと思います。
そういう人間心理を考えて、ヤクザの人も身なりはお金をいかに持っているかを演出した外見にするそうです。

例えば時計にしても、いかにも誰が見ても分かる高級時計をつけるそうです。
スーツにしても、靴にしても、全てにおいてとにかくお金を持ってそうな身なりにする。
そうして銀座の街などを歩いたら、誰かがオイシイ話を持って来てくれるのだそうです。

完全にヤクザの人は「メラビアンの法則※」を活用していることが分かります。

※メラビアンの法則
メラビアンの法則とは、矛盾したメッセージが発せられたときの人の受けとめ方について、人の行動が他人にどのように影響を及ぼすかを判断するアルバート・メラビアンが行った実験についての俗流解釈である。この研究は好意・反感などの態度や感情のコミュニケーションについてを扱う実験である。感情や態度について矛盾したメッセージが発せられたときの人の受けとめ方について、人の行動が他人にどのように影響を及ぼすかというと、話の内容などの言語情報が7%、口調や話の早さなどの聴覚情報が38%、見た目などの視覚情報が55%の割合であった。この割合から「7-38-55のルール」とも言われる。「言語情報=Verbal」「聴覚情報=Vocal」「視覚情報=Visual」の頭文字を取って「3Vの法則」ともいわれている。

実際に外では身なりの良い服装をしていても、実際にはそのスーツしか持っておらず、お家に帰ったら急いでハンガーにかけてジャージに着替えるヤクザの人もいるらしいです。
それくらいに張ったりや見栄などが大事な世界だというのが伺えました。

ヤクザの人=直ぐに暴力を振るうというイメージにとらわれがちですが、意外にこの本を読むといかにそうならないように工夫しているかも分かります。
暴力を振るったりすると直ぐに警察を呼ばれてしまうので、いかに呼ばれずに相手に恐怖を与えて解決するのかがポイントになるのでしょうか?
実際そのような身なりで顔が怖いのに、口調だけは馬鹿丁寧なヤクザの人もいるらしいです。
しかもそれが作戦とのことで、そのギャップに人は違和感という恐怖を感じるとのことなのです。

あとは、大事な商談などここぞという時には、黒塗りのベンツを周囲にお金を払ってでも来て集まってもらうとか。
確かに軽自動車で乗り付けられるよりも、黒塗りベンツ数台が連なって登場の方がサマになりますものね・・・。

他には打ち合わせや人と会う時などはなるべく一流ホテルのロビーを使うそうです。
こまめにホテルのロビーなどを利用していると、そこのホテルのボーイさんに顔を覚えられますよね。
そうしたら、行くたびに会釈なり挨拶をしてくれるようになる。
すると大事な商談の時や、ここぞという時にそのホテルを利用すると、ボーイさんがいつも通り挨拶をしてくれたとしても、初めて来た人や見た人からすると、一流ホテルにも顔が利くように見えるのだそうです。

などなど、ヤクザの世界がどうこうよりも、読んでいて、一社会人としても利用出来るところや学べるところが沢山書いてありました。

この本はかなり色々な面で応用が利くと思います。
恋愛においても、ビジネスシーンでも。

読んだ内容を踏まえて私も自分の見せ方について、もっと勉強しようと思いました。