湖の側で拳銃を見つめて「やれやれ」というキノ。
しばらく良い考えが思いつくまで寝る事にするとハンモックで眠るキノ。
眠りについてしばらくしたキノにエルメスが呼びかける。
急いで飛び起きてハンモックの下に隠れるキノにエルメスが「地面が揺れている」と伝える。
「地震かな?」というキノにエルメスは「何かがゆっくり近づいてきているんだよ」と言う。
その正体は動きながら移動する国だった。
3話目「 迷惑な国」のあらすじと感想
移動する国と一緒にエルメスで追いかけるキノ。
エルメスもキノも移動しながら動く国は初めて見たとのことで、凄いなと驚きを隠せません。
エルメスはキノにどうするかと尋ねるも、キノは良いアイデアは浮かばなかったと親指を上げるポーズをする(ヒッチハイクの人が車を止めるような感じ)。
すると移動する国から「あなたは旅人さんですか?あなたは入国を希望しますか?」との声がするので、キノはその声に「そうです」と答えます。
すると中から「しばらくお待ちを」と返答があったかと思うと、移動する国は突然動きを止め、中から小さい車がやってきます。
迎えに来た人は「こんにちは、旅人さん。私はこの国の入国審査官兼案内人兼検察官兼その他です。我が国では公務員が色々な仕事を兼任しますので」とキノに挨拶をします。
キノも相手の男性に挨拶をした後、「これは国なんですか?人が住んでいるのですか?どちらに向かっているんでしょう」と質問責め。
それに対して男性は、「今は平地に沿って西へ」向かっていると説明し、キノに「旅人さんの入国目的は観光ですか?それとも移住でしょうか?」と尋ねます。
キノは「観光と休養を希望します」というキノに、男性は「お客様はいつでも大歓迎です。何日ほど滞在を希望されますか」との問いにキノはエルメスと顔を合わせて「5日~10日ほどを希望します」と答えます。
1話目とかで確かキノは3日ほどの滞在しかしないと言っていた気がしたのですが・・・気のせいだったのでしょうか?
その後キノは動く国の中を案内してもらいます。
この国は動力炉という炉で生み出された大量の蒸気が発電機を動かして動いているそうです。
動力炉の装置は自動で動くので、中にいる人たちがすることは監視だけで、一番労力を注ぐのはキャタピラや駆動モーターの交換や整備だそうです。
その後に住居区を案内されます。キノやエルメスが泊まるお部屋もこちらに用意されているとのこと。
エルメスは男性に質問をします。
「やっぱりずっと移動してるの?良い土地を見つけて定住とかは?」
すると男性は2つの理由でずっと移動を続けていると言います。
一つ目は動力炉の問題で、移動を長い時間止めるとそのエネルギーが余ってしまうそうです。それを防ぐ為にほぼ常にキャタピラを動かして消費しているとのこと。
二つ目は色々な景色、変わってゆく景色、それらが好きで移動し続けています。つまり国民全員で旅をしているとのこと。
ちょっと移動している理由が素敵だなと思いました。
キノは泊まることになった部屋でお風呂に入り、上がってくるとエルメスに「こんなに豊富にお湯が使える国は間違いなく初めてだ」と言います。
そんなキノにエルメスは「この国の水は循環されて使用されるから明日のお昼に飲むかもしれないよ」と言いますが、キノは「川の泥水を布でろ過して飲むよりはマシ」と言います。
エルメスはキノに「上手くいくかな?」と聞きますが、キノは「それも4~5日でわかる。さて…寝る」と言って寝てしまいます。
何やらキノは何かを企んでいるご様子です。
次の日またキノは国の中を案内してもらいます。
「ここが最上階です。直接太陽光を浴びることが出来る唯一の場所です」
技術もハイテクだし、整備も綺麗だし、今のところかなり良い国なのが伺えます。
案内してくれている時に建物の下で何かが動いているのが見え、キノは一瞬鳥かと思いますが、小型のカメラだそうです。
建物の周辺を映し出してくれているとのことでした。
関心している矢先にあるものを見てビックリするキノ。
それに気づいた男性は、
「こればかりはどうしようもありません…豊かな大自然にこれだけ大きな跡を残すのはとても心苦しいです。きっと迷惑でしょう。しかし人が歩けば足跡は残ります。これだけは仕方がないと割り切り、またこの土の上に新しい緑が逞しく育ってくれることを願っています」
とのことですが、確かにそうなのですが・・・なんとも言えない気持ちになりました。
案内を引き続けている最中に突然サイレンが鳴ります。
進路近くに別の国を発見したと言う警報とのことで、男性は外交官として指揮所に行くが一緒に行くかキノに尋ね、キノも同行することにします。
指令所につくと大統領がキノに挨拶をします。
「おや旅人さん初めまして。私がこの国の大統領です。どうかゆっくり見学を」
どうやら移動する国が進む方向にある国が城壁を作って通れなくしているみたいです。
大統領も男性も困っているご様子ですが、相手国に交渉をします。
「こんにちは私はこの国の外交官です。話し合いがしたいので責任者を。もしあれば無線に出して下さい」
「こちらは常に移動している国です。あなた方の国を横切らせて下さい」
これには相手の国もビックリでそんな非常識なことは受け入れられないと言います。
しかし移動する国の言い分としては、
「あなた方の国は平野部を城壁で完全に塞いでいます。これでは私達の国の通るところがありません」
しかしそれに対して相手の国の言い分としては、自分たちが長年築きあげてきたこれは成果だからそれでも通ると言うなら自衛のため武力で事態を解決する、つまりは戦争をすると言います。
それを聞いて大統領は男性に何か指示を出します。
すると移動する国の外壁が変形をします。
それに対して相手の国は我々は警告をしたから今から攻撃を開始すると言い、攻撃を始めます。
それに対して移動する国は、
「困った人たちだなぁ・・・大統領閣下。畑のところが通れそうですね。家を大量に押し潰さなくても良さそうです」
との男性の言葉に大統領は優雅に「それはとても良いですね」と言い、男性は相手の国に
「それでは私達はあなた方の国の田園地帯を通り抜けます。進路上の方々は退避願います。速度を上げますので半日も掛からないと思います。ご安心下さい」
えぇーーーー!!!人の国の農作物を壊すってちょっと、ちょっと自分勝手過ぎる気が・・・しかも安心してくださいとかそういう問題でもない気が!!
相手の国の人はこの言葉に激怒です。
すると移動する国は壁に光のレーダーを放ち自分たちの国が通れるように壁に穴を開けます。
穴を開けたあとも移動する国は相手の国の将軍に
「将軍殿。申し訳ありませんが家の人に危険ですから退避するようお伝え下さい」
とマイペースに誘導をします。
相手の国の将軍は移動する国にこう言います。
「あなた方は!自分たちの恵まれた環境をこれ以上なく悪用している!踏み潰される他の国!他の人々の迷惑や被害!悲しみを考えないのか!そのような!人として最低限必要な考えすら持てないのかぁ!」
いや・・・本当にごもっとも意見でタイトルの意味にやっと納得したくらいです。
最初は自然を切り崩しながら進むことが自然に迷惑な国という意味かと思ったのですが、それだけではないみたいです。
移動する国はそんな言葉を無視して優雅に進み続けますが、相手の国は城壁を攻撃し続けているようです。
しかも、子どもたちが描いた城壁を目がけて攻撃をしているということを知った男性は大統領にレーザーで攻撃しても良いかと尋ねますが、大統領は威力が強すぎるからダメだと言います。
大統領は無駄な血は争いたくないみたいです。
そんなやり取りを見ていたキノは自分がパースエイダ―(銃の名前?)で撃つと言います。
百発百中!!なんたるヒット率と銃の腕前!!キノ凄いです!!
通り終わった移動する国は、相手の国に「お騒がせしました」と挨拶をして去って行こうとしますが、相手の国の将軍は
「謝罪と損害賠償を要求する!これは我が国の持つ製糖な権利である!移動を停止し交渉に応じろ!」
と言いますが、移動する国は
「それは応じ兼ねます。ではごきげんよう」
と去って行きます。
キノは旅立つ日に移動する国の男性に
「これだけの力があれば他国を攻め滅ぼすのも征服して支配下に置くのも簡単でしょうね」
と言います。
すると男性は
「私達はそんな生活を望みません。今でも充分に幸せですし世界中を敵に回すのも愚かなことです。ただ昨日みたいなことは稀にありますけどね。どんな人間でもどんな国でもある程度他人や他国に迷惑を掛けながら存在しているものですよ」
とキノに言います。
旅が始まり、キノとエルメス二人だけになるとエルメスはキノに「上手くいったね」と言います。
どうやら相手の国はわざと城壁を作って通れないようにして、通行人からお金を巻き上げている国だったそうです。
冒頭でキノが良いアイデアが生まれなくて悩んでいた原因も、通行料が高くて通れないということも含めてどうやって国を通ろうかということだったようです。
いつもは3日しか滞在しないキノが5~10日ほど滞在した理由もここにあったようです。
タイトルの『迷惑な国』これは双方に対してのタイトルだったのでしょうね。
けれども、移動する国はとても平和な思考の国なので、そういう点では相手の国よりは悪くはないのかなと思いました。
キノの旅はなんだか少し『星の国の王子さま』を思い出しますね。
星の王子さま (新潮文庫) [ アントアーヌ・ド・サン・テグジュペリ ] |
色んな人がこの世の中にはいて、色んな考えがそれぞれあって・・・。
今回のキノのお話しもやはりなんだか考えさせられてしまいました。
次回はどんなお話しなのか、楽しみです。