シズさんとリクくんが海の近くの丘の上で「船の国」を眺めながら会話をするところから物語は始まります。
船の国は大陸の間を移動しながら交易を行なっているらしく、シズさんは何か懸念はありつつも海を渡るために「船の国」に行こうとリクくんに言います。
リクくんは自分の許可など必要ありませんとシズさんに言います。
4話目「 船の国」のあらすじと感想
シズさんは船の国の塔の上に案内されます。
塔の一族の人たちは、シズさんに「何処まで行かれるのか?」と聞きます。
するとシズさんは「西の大陸までお願いします」と答えると、塔の一族の人たちは「ならば丁度良い。この国は大陸沿いに進み、5日ほどで外洋に出る。西の大陸なら15日ほどで着くだろう」「仕事をすれば我々と同じ眺めの良い部屋と食糧を提供します」とシズさんに言います。
シズさんが仕事の内容を尋ねると、塔の一族の人たちは「民衆の監視と治安維持です」「民衆のものは多少痛めつけても構わぬ。最近嘆願の要求がどうにも図に乗ってきているからなぁ。もしくは民衆に混じっての肉体労働でも良いが、いかがかな」との返事にシズさんは「では民衆と同じ生活と労働を希望します。私のよつな下賤のものにはそちらの方が似合っております」とシズさんは答えますが、塔の一族の人たちはざわつきます。
民衆の人たちの元に行ったシズさんとリクくんは男性からもてなしを受けます。
シズさんとリクくんの前にはお魚が一匹置いてあるお皿が置かれています。
男性は「お口に合うか分かりませんが」と言い、シズさんにお魚をすすめ、シズさんはお魚を一口食べてとても「美味しいです」と言うと、男性は「私はこれでも長生きなほうで55歳になります。シズ殿のようなお優しい方は見たことがありません。今までの旅人は皆、我々を厳しく監視する仕事を選んできましたからな。塔から遣わされた、案内の者をご紹介します。ティファナです。ティーとお呼び下さい」と言い、小さな女の子をシズさんに紹介します。
ティーは早速シズさんを部屋に案内します。
シズさんはリクくんに「静かで悪くない部屋だ。今日はもう寝よう。向こうの大陸に我々が落ち着いて住める国があれば良いが」と窓の外を眺めながら言います。
次の日シズさんはティーに「さて、朝ごはんは食べた。これからどうすれば?何か仕事があれば、そこへ連れて行って欲しい。今なければ、この付近を出来る範囲で案内して欲しい」と言います。
ティーは歩き出し、リクくんはティーに「どこに行くのですか?」と尋ねますが、ティーは答えません。
リクくんはシズさんに「何故無口な人が案内人なのでしょう」と聞きますが、シズさんは「さぁね」と答えながら笑顔でティーの後をついて行きます。
ティーは釣り堀や、魚が干してあるところ、民衆の人たちが住んでいるところなど、様々な場所を案内します。
そして別の日、起きて身体を伸ばしているシズさんのところにティーが来ます。
シズさんはティーに「おはよう、ティー。今日は仕事はあるかい?」と聞きますが、ティーは首を振ります。
シズさんは「明日なら?なんでも良いんだ」と言いますが、ティーは黙って首を振るだけです。
シズさんは「これは思ったより退屈するかもしれないなぁ」と言います。
ティーがシズさんの部屋を訪れるたびにシズさんは、刀の手入れをしていたり、洗濯物をしていたり、リクくんの毛をブラシでといてあげていたりしていました、腕立てをしているシズさんの元にティーが訪れた時、シズさんは「まだ5日かぁ」少しすることがなくて困っているようです。
そんなある日、シズさんが食事をとろうとしていると、もてなしてくれた最年長の男性の周辺に人が集まり「長老、また旅人が来ましたよ。塔の方に行きましたけどね」「困ったものだ」と会話をしています。
シズさんが不思議そうな顔でその人たちを見ていると船が大きく大きな音を立てて揺れます。
シズさんはこの音はなんだ?!と驚きますが、民衆の人たちは気に止めてません。
シズさんは「ティーこの船はどういう構造なんだろう?そんなことが少しでも分かるところはないかな」とティーに聞くと、ティーはシズさんを案内します。
案内された場所はほぼ水が押し寄せてきていました。
それを見たシズさんは「浸水しているのか、こんな場所がもし多かったら」と、とても驚きます。
次にティーは船の構造図がある部屋にシズさんを案内します。
シズさんは船の国の構造図を広げて「先ほどのような場所や、立ち入れない場所があれば順に指差して欲しい」とティーにお願いして、ティーが指を指した場所に順にバツマークを付けていきます。
シズさんがバツをつけた箇所は143箇所もあり、シズさんはリクくんに意見を求めます。
リクくんは「この国は、この船は、かつての技術を失っていると思います。壊れた箇所や傷んだ箇所は修理せず放置しているのでしょう。ですから」2人はやがてどこからか崩壊すると推論します。
3人が部屋に戻る途中で雨に遭います。
シズさんは上着のフードを被り、コートの内側にティーを入れて雨水に当たらないようにします。
シズさんがティーを見ると、コートの内側で目を閉じています。
どうやらコートに弾く雨音を聞いているみたいです。
シズさんはティーに「この音が気に入った?」と優しく話しかけると、ティーは静かに頷きます。
するとシズさんは「じゃあ、私も一緒に聴こうかな」と静かに雨に打たれます。
シズさんは構造図を持って長老に「浸水したところを修理しなくて大丈夫なのでしょうか」と尋ねますが、長老は「心配の必要はありません、シズ殿。塔の一族が全て把握しておりますから」と笑顔で答えます。
シズさんは続けて長老に「では食糧の不足はありませんか?この国では魚以外の物が手に入りにくいようですが」と尋ねます。
すると長老は笑顔で「シズ殿は誠にお優しい方ですな。ご心配なく、私たちは楽しく生きておりますよ。今までも、そしてこれからも」と答えます。
シズさんは何やら心に引っかかる様子。
それを察してか、ティーはシズさんの手を取り船の上に誘導します。
そこにはとても綺麗な夕陽で赤く染まった空が広がっていました。
シズさんはティーに「綺麗だ。空を飛んでいるようだ。ありがとう、美しい景色だ。お陰でとても素敵な息抜きになった」と良い、ティーを見つめ、船の国を見つめ、民衆が住んでいる場所を見つめ、何かを決意します。
次の日、シズさんは刀などを携え、塔の一族のいる塔に向かいます。
塔の前に立つと「旅人、そこで止まれ」と塔の一族から声がします。
揺れる船の音を聞きながら、シズさんは塔の一族に向かって「お話があります。この音が聞こえますか?この国には看過できない構造上の欠陥があります。民の命を預かる指導者として、どう思っているかお聞かせ願いたい」と言います。
すると塔の一族は「どうとも思っておらぬ。ここは我らが治める国だ。されば国土も民衆も我らの物だ。誰が何がどうなろうがそれもまた運命だ」と言います。
それを聞いてシズさんは「お考え、よく分かりました」と言い、塔に向かうと塔の下のシャッターが開き、銃を構えた黒装束を身に纏った人が現れます。
シズさんは相手に命まで取るつもりはないと隙を伺い刀に手を掛けますが、相手に隙がありません。
すると相手が銃を構えてシズさんに向かって撃ってきます、シズさんは銃の弾を避けて相手に向かって斬りこもうとすると、相手は銃をシズさんに投げつけます。
シズさんはビックリしながらも交わして相手に再度斬りこもうとすると、相手は別の銃をシズさんに向けます。
シズさんが「驚いたな」と口に出し、相手の腕に驚きを隠せないでいると、相手も「僕も驚きましたよ」と言い、黒装束の顔のベールをめくり上げます、そうなのです、キノだったんです!
シズさんは更に驚きますが、そんなシズさんにキノは「ここは戻ってもらえませんか」と言いますが、シズさんは「断るよ」とキノに言います。
塔の一族はキノに「キノ殿、何故闘いを止める?あなた方は仲間だったのか?最初からそのような企みだったのか?」と言われます。
すると船が大きく揺れ、塔の一族はキノたちに「この国の進路を変えた。当分大陸にはゆかぬ。あなたたちは死ぬまで民と暮らすが良い」と言います。
シズさんとキノは、進行を邪魔する人たちを倒しながら塔の上を目指します。
シズさんはキノに命は取らないでくださいというと、キノは「大丈夫です。人口を減らすわけにはいかないということで、全てゴム弾です」。
シズさんは催眠の手榴弾?を投げて塔の一族の人たちを眠らせて進みながらキノに「キノさんはいつからこの国に?」と問いかけます。
するとキノは「5日前です。あなたは…えーっと、お名前なんでしたっけ?」と言うと、「…シズだよ…」と暗い声で返事をするシズさん、「そうでした!君はリクくんでしたね」と答えるキノ。
塔の上に着くと、そこはもぬけの殻でした。
裏手に回ったと判断した2人は回り込んで、裏手の塔の上に向かいます。
着いた先の部屋に2人が入ると、塔の一族が3名おり、シズさんは3人に向かって「降伏して欲しい」と言います。
すると塔の一族は「シズ殿、この国を陸に上げてどうする?」と尋ねます。
シズさんは「少なくとも、悲惨な環境から人々を救うことができる。このままでは全員死ぬ」と答えます。
塔の一族は「この国の王にでもなるつもりか」と尋ねると、シズさんは「必要なら」と答えるも、塔の一族は「良いだろう。次はお前だ。そして一緒に生きろ」言い消えて、黒装束だけがその場に残ります。
シズさんもキノもこれにはビックリ!
シズさんは船の国を陸につけます。
そして、ティーに「今までありがとう。もうついて来なくて良いんだよ」と言います。
キノは既に陸で、エルメスに跨って出発の準備が整っているようでした。
すると車に乗って、陸地にいる人たちを満足気に見つめて出発をしようとするシズさんに、長老が「シズ殿、一体何がどうなったのですか?」と尋ねます。
シズさんは「私は塔の一族の横暴なやり口に納得出来ず、彼らと話、その後闘った。彼らは全員別の国に行き、別の国に逃げた。もうこの国にはいない。これからは全員、陸の国で自由に生きていけることが出来る!」と民衆の人たちに言います。
すると小さい子どもが「戻ろうよ!ここ全然揺れないよ?気持ち悪いよ」と不安そうな顔で大人たちに言います。
シズさんは「あの暮らしに戻ったら、あなた方に未来はない!船の国はやがて沈む!直ぐではないだろう?だが数年後には…」と民衆に力説をしているところに、長老が割って入ってきて「そんな嘘には騙されないぞ!今までしっかり浮かんできたこの国が、沈むわけがなかろう!!旅人などに、故郷を愛する我々の気持ちなど分かるまい!!」と言い、民衆もそうだそうだと加勢をしてシズさんを攻めます。
シズさんは「そうか。では私からは言うことはない」と静かに言います。
船の国は陸から離れる準備をし、シズさんは陸に降り、ティーに「私は失敗した。君も国に戻ると良いよ」と言いますが、ティーは何も言わずに下を暫く向いています。
シズさんは「どうした?早く戻ると良いよ。置いて行かれてしまうよ…」と優しくティーに話しかけると、ティーは静かにシズさんに歩み寄り、シズさんをナイフで刺します。
シズさんの服が血でどんどん染まっていく中で、ティーは「私に戻るところなんてない」と静かに言います。
それを見たリクくんは「シズ殿!!」と駆け寄り、キノは銃を構えますが、シズさんは「待ってくれ!!!」と声を張り上げます。
するとエルメスが「その女の子がティファナなんだね。なるほどー」と言い、キノはエルメスに「何故知っているんだい?」と尋ねると、「倉庫番の黒服さんが教えてくれたんだよ。同じ、人間ではないよしみでさっ、彼らの正体とか、その女の子のこととか。ティファナって船の名前だったんだ。600年前、放棄されて無人だったあの国に流れ着いた、漂流船の名前。その船には幼い数100人の子どもだけ乗っていた。大人は全部、新種の疫病で死んじゃったんだってさ」とエルメスは話します。
それを聞いたシズさんは傷を押さえながら「その子どもたちの子孫が彼らか?」とエルメスに尋ねると、エルメスは「そうだよ!そしてティファナ号を制御していた機械、人工知能があの船の国に乗り移って、塔の一族になったんだ」と答えると、シズさんは「民衆をまとめる者が必要だったのか」と聞くと、エルメスは「さすがは元王子様!機械は偉い存在になって、人々をまとめ、生かそうとしたんだ」、するとキノが「だったら国を陸地に着ければ良いのに」と言うと、エルメスは「それは何度か考えたらしいよ。けど、民衆は陸で生きる術を知らないし、機械の身では彼らを他の国から守れないと判断したって言ってた」と言うと、シズさんは「それで私に、次はお前だ。などと言ったのか…ティーのことは?!」と静かに言い、エルメスに尋ねます。
エルメスは「その女の子は元々船の国の人ではないんだ。旅人の夫婦があの国で産んだ。そして捨てられたの。黒服はその赤ちゃんに、漂流船の名前を与え、大事に育てた。でも、民衆は、血の繋がりのない、その子を拒んで、関わろうとしないんだって」と言います。
それを聞いてシズさんはティーに歩み寄り「ティー、すまなかった…知らなかったとはいえ、酷いことを言ってしまった…でも…俺は…君を…見捨てない…よ…これから…一緒に、助け合っていこう」と息も絶え絶えに静かに言います。
すると、ティーの後ろで船の国の扉が閉まり、船の国は陸から離れていきます。
するとティーはシズさんに「ありがとう…」と言うと、シズさんは「例なんていらない…でも、どういたしまして」と言い、ティーを抱き寄せて抱き締め、
「俺も君も、あの国とはさよならだ…君はこれから、俺…と…」とティーに話しかけながら、シズさんは息絶え絶えに倒れてしまいます。
するとティーはシズさんに「やだ…やだ…置いてかないで…置いてかないで…いやだ…」と静かに言い、手榴弾を手に取ります。
それを見たエルメスがキノに「心中するつもりだよ、あの子」と言うと、キノはティーに銃を構えます。
すると、シズさんが「やめろ!!」と最後の力を振り絞って叫びますが、
キノは銃の引き金を引き、弾はティーの手榴弾を弾きとばし、手榴弾が空(くう)を舞います。
~渚にて、旅の始まりと終わり~
丘の上に、エルメスとシズさんの車とテントが張ってあります。
旅立とうとするキノに、シズさんは「キノさん、色々ありがとう。まだ、ちゃんとお礼を言っていなかった気がする。ありがとう」と言うと、キノは「どういたしまして」と言うと、シズさんは「じゃあ、またどこかで」と言うと、キノは「じゃあ、またどこかで。僕が旅を続けていれば、あなたがいつか住む場所に辿り着くと思います」と言うと、シズさんは「その時は、心から歓迎するよ」と言い、キノは旅立ちます。
エルメスに跨り海沿いの道を走らせながら、エルメスはキノに
「ところでキノ、将来またあの人に会ったら…」
キノもエルメスに「そうだね、あの人は…」
「死ぬほど驚くかもね」と言い、物語は終わります。
シズさんが本当に素敵だなと思えたお話でした。
話し方や考え方なども、好きになっちゃうって何度も色んなシーンで思いました。
特にティーとの雨のシーンはとても素敵なので是非観て欲しいです。
シズさんが死ななくて良かったと思うのと、シズさんと一緒にいられるティーがひたすら羨ましいです(笑)
きっと素敵な女性になるのだろうな…一緒にいる人や、環境で人は良くも悪くも変わりますから。
最後にエルメスにキノが「死ぬほど驚くかもね」と言ったセリフについてですが、これはシズさんに「次に会う時はシズさんが定住した国でー」と言う会話の続きになるみたいで、シズさんが一つの国に定住するなんて想像つかないので、僕たちが「死ぬほど驚くかもね」という説が有力だそうです。
ちなみにシズさんはこのお話の中でも、1、2を争うほどの良い人とのことなのですが、本当に伝わります。
声が梅ちゃんなのがまた凄く良いです♡
原作は前編と後編でかなり長いお話らしく、かなり端折られてるとのことで、原作ではシズさんの船での生活がもう少し細かく描かれているらしく、キノとの戦闘シーンももう少し描かれているそうです。
あと、ティーがシズさんを刺した理由とかも…。
キノの旅のアニメを観ると、色んな人がいて、色んな考え方がそれぞれにあることを学びます。
シズさんが良かれと今回思った件も、民衆の人には迷惑でしかない話だったり、理解してはいるけれども、こうしてアニメとかお話にされると、人それぞれ考え方が違って、違う生き方をしていることも考えさせられます。
次回はどんなお話になるのか、楽しみです。