映画『 92歳のパリジェンヌ』を観ての感想 ※ネタバレ含みます

目次

あらすじ

元助産師の女性マドレーヌは92歳の誕生日を祝う席で「2ヶ月後の10月17日に逝く」と尊厳死を決めたことを告げる。 家族は動揺し、思いとどまるよう説得するが、マドレーヌの決意は固い。 しかし、一人暮らしの部屋で倒れ、入院したマドレーヌの姿を見た娘ディアーヌは、マドレーヌの思いを受け入れ、最期の日々を共に過ごそうと決意する。 一方、ディアーヌの兄ピエールは、これまで散々好き勝手に生きてきた母が死までも自分で勝手に決めたことが許せず、猛烈に反対する(wikiより抜粋)

映画を観た感想

尊厳死を求めて戦ったミレイユ・Jさんという方の実話を元にした作品だそうです。

タイトルからして、てっきり92歳だけれども女性を忘れずに素敵に生きるフランスの女性の話かと思えば全然違って、歳を取るということを真剣に考えさせられる作品でした。

日本では日常に支障が出たら、当たり前のように老人ホームに入るイメージなのですが、フランスではそれをまだ受け入れてないのだなぁと。

92歳になり出来ないことが増えた女性が自分の誕生日の日に家族の前で自殺を宣言します。

突然家族は反対をするのですが…。

この自殺に火をつけたのは見ていてホームヘルパーの黒人の女性なのではとは思いました。

「今のあなたに出来ることは死ぬことだけ」

歳を取って出来ないことが増えてメンタルなども弱っているお年寄りに言うセリフかなぁと。。

実際自分自身でも自覚をして悩んでいるからといって、他人様が後押しをして良いセリフとは思えない。

ネットや顔も知らない他人様が言うならばまだしも、身の回りのお世話をしてくれて顔を合わせる相手から言われるのは少しキツイのではないかなぁと。

家族に話した後に反対をされたことを知った後もホームヘルパーの黒人の女性は言ったのが間違いだったわね、みたいに言うのもどうなのでしょうか。。

当然のように同居を勧める娘さんなのだけれども、主人公の女性は断ります。

しかし台所で火を点けっぱなしの状態で家でトイレをしている時に身体に異変が起こり倒れてしまい、家族が駆けつけた時には家中煙だらけで病院に運ばれたりすると、娘さんは同じ女性だから主人公の女性の気持ちを受け入れます。

オムツをして人様に迷惑を掛けててでも生きろというの?

しかし息子さんは断固反対で、歳を取るのが嫌だから逃げるだけだろ!最先端の流行に乗ったつもりなのか!愛する家族と一緒に最後まで生きるべきだろ!など主人公の女性に辛辣な言葉を吐き捨てて、自殺用の薬を没収してしまいます。

娘さんにそのことを伝え、私に病院で死ねと言うのね?と言うと、娘さんは自分のお母さんは最後まで目的を果たす人だわと言って再度薬を集めることに協力をします。

※色んな病院に連絡をして、それぞれの医師から眠剤を処方させるという…確かにお年寄りがODしたら未遂では終わらないだろうな

けれどもやはり娘さんは認めてから悪夢ばかりを見て罪悪感に追い詰められてる様子。

歳を取って自分の思い通りに身体が動かなくなったら、確かに気力がまだあるうちに自殺する方が良いのかもしれない。

無駄に病院で管に繋がれて永遠と生き地獄を続けるのは、本当に良いことなのかなと考えさせられる。

死を望む人に「死なないで」と言うのは自己満足でしかないのではないのかなって…。

しかし、過去に友だちが「今から自殺をする」と連絡が来た時に「生きてたら連絡頂戴」みたいに最後に言って止めなかったら、死ななかったけれども足を複雑骨折して後遺症が残り、後々度々「あの時止めてくれなかったからだ」と言われるハメになったのを考えると何が正しいのかは分からないな。。

リスカ常習、自殺未遂常習が自殺する友だちが、まさか止めて欲しかったとは夢にも当時の私は思わなかった。

座間事件に対してネットで「『死にたい』と書いていても本当に死にたかったわけではない」との言葉を見た時も驚いた。

死ぬ気がないならば「死にたい」ではなく素直に「助けて」と言いましょう。

話は逸れましたが、映画の主人公は終活を始め、身の回りの物なども処分したり片付けたりし始めます。

主人公は息子さんに死ぬ前に仲直りがしたい、決して良い母親だったとは思わないから恨まれても当然だと手紙を送りますが、息子さんは約束の時間に来ません。

しかし…主人公の女性、どうやら浮気癖が凄かったらしくて、他所に男性を作っては旦那さんに家に連れ戻されていたり、社会活動などに参加していて息子さんをあちこちに連れ歩いたりもしていたみたいで、浮気相手の1人とは未だに文通のやり取りをしている様子。

そういう母親をやはり息子は受け入れられなかったのかもしれません。

最後自殺したいという発言も、最後まで周囲に迷惑を掛ける人間という風にも思えたのかもしれません。

娘さんは手紙の相手に会いに行こうと提案しますが、主人公は遠すぎるから無理だと言いますが、娘さんが車を出してくれて連れて行ってくれます。

相手の人の凄く喜ぶ様子などを見ると…不倫に肯定的ではない私も不倫をする人を叩く気持ちにはなれませんでした。

こんな最後の最後までお互い想い合えるほどの気持ちならば不倫も良いのかもしれない。

最終的には息子さんは最後まで受け入れることなく、主人公の女性とは会わないまま終わり、娘さんは最後の日のお昼くらいまで一緒に前日から過ごして家族と一緒に家に帰り、主人公の女性から最後に電話を受け取り、主人公の女性はその後に睡眠薬を砕いてライスプディングに混ぜて食べて自殺をして終わります。

かなり見ている段階から老後について考えさせられる作品でした。

女性の年齢まで私の今の年齢は倍以上あるので、老後の自分の姿などまだリアルには思い描けていません。

けれども、この作品を見ると人間はいつか死ぬ生き物であり、いつ死んでも良いように身の回りの整理整頓をして、後悔のない人生を送りたいものだなぁと思いました。

かなり観る価値のある作品だとは思いましたので、お時間のある時に興味を持って頂けたら是非観て欲しいです。

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