「子供を殺してください」という親たち 1 (バンチコミックス) [ 鈴木 マサカズ ]
あらすじ
過度の教育圧力に潰れたエリートの息子、酒に溺れて親に刃物を向ける男、母親を奴隷扱いし、ゴミに埋もれて生活する娘…。現代の裏側に潜む家族と社会の闇を抉り、その先に光を当てる…。様々なメディアで取り上げられた押川剛の衝撃のノンフィクションを鬼才・鈴木マサカズの力で完全漫画化!
原作:押川剛 / 漫画:鈴木マサカズ原作:押川剛
1968年生まれ。福岡県北九州市出身。専修大学中退。トキワ警備(現・株式会社トキワ精神保健事務所)を創業後、“説得”による「精神障害者移送サービス」を日本で初めて創始。移送後の自立・就労支援にも携わる。ジャーナリスト・ノンフィクション作家としても活動し、ドキュメンタリーが多数、放映される。2015年『「子供を殺してください」という親たち』上梓。2017年3月『子供の死を祈る親たち』を刊行(ネットより拝借)
『「子供を殺してください」という親たち』1・2巻を読んだ感想
タイトルが気になってふと手にした漫画だった。
中身は実在の話らしい。
かなりリアルなお話が描かれていた。
殆どの家庭の子供が引きこもりで働けず、親に強い態度を示して、親を自分の意のままにしようとして、自分の思い通りにならないと暴力を振るったり脅迫まがいのことをする。
実際脅迫まがいと書きつつも、多分親御さんたちが放置をしたら通り魔となり人を無差別に殺して迷惑などかけようと本気でしそうな雰囲気はあった。
そんな子供に疲れて押川さんに子供をどうにかして欲しいとお願いにくる親たち。
しかし施設などに入院させられても親に退院させろとメールや電話や手紙を送り続けて、親たちは退院したら自分たちは殺されると恐怖を抱いている。
どの親も次に会ったら殺されると思っているみたいだった。
それだけ今までずっと家の中で家族だけの問題として片付けていた頃に怖い思いをしたのだとは思う。
しかし必ず子供がそのようになる前に親はいつもと違う何かを子供に抱いていたハズなのだ。
けれども彼らは子供が精神病を患っていても直ぐに受け入れず一時的なものだと思い放置した結果なのだと思うのだが、彼ら親たちは自分たちの非を必ずとして認めない。
自分たちの非を受け入れることなく子供だけを非難する。
最終的に子供たちはその後みんな親たちから捨てられる。
会いたくても向こうが拒み2度と会えることはない。
押川さんは親から捨てられたのではなく、自分が親を捨てたと思えば良いと言う。
この作品を読んで私は自分自身と重ねてしまった。
私も親に捨てられた1人だ。
当初は自分から捨てたと思っていたが、実際はこの作品のように捨てられたのだと思う。
子供の頃、何度も親から「あんたの存在が私を不幸にする」「あんたがいなければ私は幸せになれる」と繰り返し言われて叩かれた。
そんなわけで私は常に自分の存在を悪だと感じ、この世に存在する価値がない人間だと思っていた。
お陰様で少しでも優しくされたらそんな自分にと思い感謝をして、酷い言動をされたらそれは当たり前なのだと受け入れた。
困っている人がいたら、こんな自分でも何か出来るのではないかと手を差し伸べ…いいように利用されるだけの人間に成り下がっていき、精神はどんどん壊れて病んでいった。
私には姉がいて、私が親に外に出されたり殴られたりしている時も姉だけが庇ってくれて守ってくれていた。
何故私だけ?
そう思って親から愛されている姉を見ては妬んだり僻んだりもしたけれども姉は常に私に優しかった。
姉がいたから私は多分通り魔殺人など人様に迷惑をかけなかったのかもしれない。
事実親からも常に私が何かしたら姉に迷惑がかかることを頭に入れておくように言われていた。
今はそんな姉ともメールのやり取りはしていても会えない。
私も家庭を持ち子宝には恵まれずとも幸せな日々を毎日過ごしてはいるのだけれども、それでもこういう作品を目にすると、子供が欲しいと願いつつも何故子供が欲しいのか、そもそも自分自身が親からいらない存在だと言われて誰からも必要とされない人間で自分自身を産んだことを呪う人生だったのに、同じ人生を子供にも歩ませようと思うのかとか…考えてしまう。
世間では親は子供を一番に思うとか、親は子供を愛しているとか言うけれども、世間体だけの話であり事実はこの漫画のような家庭は多いのではないかと思う。
本当に生々しく描かれているが故にトラウマのような感情が引きづりだされてしまい、読んだ後も寝る時もワンワン号泣してしまった。
毒親育ちの方は精神状態が良い時に読むことをオススメしたい。