【スタマイ】山崎カナメ SR 3位の微笑みLv.40(オトナになれない)※シナリオネタバレ

普段は全然意識しないのに、ふとした時にカナメくんって男性を感じてドキドキしてしまいます。

このお話しもメチャクチャドキドキしてしまいました///是非読んでカナメくんを堪能して欲しいです。

オトナになれない

ある日の九条家―――

九条壮馬「カナメ。先日の全国模試はどうだった」

山崎カナメ「ああ・・・3位」

泉玲「ええっ、全国3位!?すご・・・」

桐嶋宏弥「またかよ!」

泉玲「ん?」

新堂清志「相変わらずだな」

泉玲「!!?」

宮瀬豪「カナメくんはほとんどいつも3位なんですよ」

泉玲「・・・」

お姉さんはポカンと口を開けてこちらを見つめた。

泉玲「はぁ~、食べ過ぎた。お腹苦しい!」

山崎カナメ「そう?」

泉玲「カナメくん、あんなに食べたのにまだお腹いっぱいにならないの?」

山崎カナメ「満足だけど、満腹ではないかも」

泉玲「さすがだ・・・」

今日という今日は俺が送ると言いくるめて、お姉さんのアパートまでの道のりを並んで歩く。

泉玲「さすがといえば、全国模試で3位かぁ。それで”相変わらず”とか”またか”とか言われるなんて信じられないや。私だったら、お赤飯炊いて盛大にお祝いされてるところだよ・・・」

山崎カナメ「ええ・・・そこまで?」

泉玲「当たり前でしょ。すごいことだよ、全国3位なんて。なんなら私が炊いてあげようか?ハハ」

山崎カナメ「・・・それいいね」

泉玲「え・・・」

山崎カナメ「炊いてよ。食べに行くから」

泉玲「ん?どこに」

山崎カナメ「お姉さんの家」

泉玲「えっ」

山崎カナメ「・・・嫌?」

泉玲「嫌なんじゃなくてね。そういう問題じゃなくて。なんていうか、私一人暮らしだし、モラル的にマズいっていうか・・・」

山崎カナメ「へぇ、モラル的にマズいことする前提なんだ?」

泉玲「はい!?」

山崎カナメ「――まぁ、俺としては願ってもないことだけど?」

からかうように顔を覗き込むと、お姉さんの頬は瞬く間に赤く燃え上がる。

泉玲「そんなわけないでしょ!」

山崎カナメ「なんだ、残念」

泉玲「ざ・・・・」

山崎カナメ「でもちょっと安心したよ」

山崎カナメ「”嫌なんじゃなくて”」

泉玲「!!いやいや、あれはそういう意味じゃ・・・」

山崎カナメ「じゃあ、嫌なの?」

泉玲「ちが・・・・・ま、まったく!おお、大人をからかうんじゃありません・・・!」

お姉さんは、言葉に詰まると決まってこのセリフを口にする。

それは、大人と主張するわりには、ずいぶんと子供っぽいふくれっ面で。

山崎カナメ「ごめん、ごめん」

泉玲「・・・思ってないでしょ」

山崎カナメ「おかしいな、そう見えた?」

泉玲「もう・・・!」

今度はいじけたような顔をしてそっぽを向くお姉さん。

山崎カナメ(・・・ホント、可愛いな)

そんなことを言ったら、きっとますます顔を赤らめて怒るだろうから―――

俺は黙って声を殺して笑っておくことにした。

泉玲「・・・じゃあ。わざわざ送ってくれてありがとうね、カナメくん」

山崎カナメ「いや、普通でしょ」

泉玲「大人が未成年者を送るのが普通ですー!」

山崎カナメ「・・・」

”子供扱いしないで”

胸元までせり上がった子供っぽいセリフを、苦笑いとともに飲み下す。

そんなことを言えば、”自分は立場もわきまえられないお子様です”と自ら宣伝するようなものだった。

山崎カナメ「はぁ・・・2年か、長いな・・・」

泉玲「なに?聞こえないよ」

山崎カナメ「――お姉さん。3位のお祝い、くれる?」

泉玲「ああ、お赤飯?」

泉玲「本当に炊けばいい?」

山崎カナメ「赤飯はいらないけど」

泉玲「はは、だよね。じゃあ何がいい?外で食べられるようにお弁当――なんかだと、全然お祝い感がないよなぁ・・・」

泉玲「そうだ、ケーキ焼いて届けようか?・・・いや、でも1人ぼっちでワンホールつつくなんて虚しいよね」

お姉さんは難しい顔をして真剣に悩み始める。

泉玲「うーん。お祝い・・・鯛?エビ・・・・?あ、ハマグリ」

山崎カナメ「・・・」

連想ゲームが斜め上になってきた。

むず痒い笑いがこみ上げて――

ふと気づけば、彼女の手を引いて強引に胸の中に閉じ込めていた。

泉玲「え、ええっ・・・なん・・・」

山崎カナメ「・・・悩んでいるみたいだから、勝手にもらうよ」

山崎カナメ「お祝い」

慌てて考えた後付けの言い訳を、さも狙いすましたかのように口にして――

うろたえるお姉さんの動きを封じがてら、抱きしめる上に力を込めた。

山崎カナメ「お祝いのハグくらい、別に問題ないでしょ」

泉玲「・・・お祝いのハグ?」

山崎カナメ「そう。お祝い」

泉玲「・・・えーと。で、では・・・」

渋い反応を示しながらも―――

泉玲「・・・おめでとう、カナメくん。お疲れ様」

お姉さんは抵抗をやめ、ぎこちなく俺の背中に手をまわした。

その感触に酔う暇もなく、その手はぽんぽんと背中を叩く。

山崎カナメ「・・・」

多分、敢えての子供をあやすような仕草。

それがもどかしくて、悔しくて―――

ムキになって力を示すように、彼女を抱く腕に力を込める。

俺に比べればこんなに小さくて、華奢で、強く抱きしめすぎると折れそうなのに。

なぜ、俺は子供で―――彼女は大人なのだろう。

奥歯を噛み締めながら、俺はほんのわずかな間、彼女を抱きしめて、その髪の香りを目一杯吸い込んだ。

甘い香りと、やわらかなぬくもりが、脳下垂体を刺激する。

山崎カナメ「――じゃ、お祝いアリガト」

俺は余裕ぶった笑みを浮かべて抱擁を解き、さっさと踵を返して歩き出した。

情けないが、照れくささに上気しているであろう彼女の顔を見ても部屋に押し入らない自信がない。

泉玲「う、うん・・・またね」

消え入りそうな声を肩越しに聞きながら、大股で歩く。

―――いつか。

苦しい言い訳がなくても彼女に触れられる日が来るように・・・

彼女の背後に控える鉄壁のドアを、彼女の笑顔に迎えられながらくぐる日が来るように。

模試は3位でも――彼女にとっても1位になる日が、来るように。

願いであり、決意でもあるその思いを拳に握り込んで、俺は帰り道を歩いた。