漫画「異常者の愛」を読んだ感想 ※ネタバレ含む

あらすじ

あまりにも身勝手で、理不尽で、暴力的なまでに一途な”愛”。激情が行き場を失くした時、美しかったはずのその言葉は、最悪の”害”に反転する。 自らの愛が報われなかったとき、”怪物”はどのように人を追い詰めるのか。 異常者の牙と爪は、誰に向けられるのか。 その凄まじい愛憎から、身を守る術はあるのか――。 ただ、「ソレ」に愛されてしまった。 少年の不幸に理由があるとすれば、それだけだった

「異常者の愛」を最終話まで読んだ感想

確かに、確かに好きな人がいて、その人との仲を邪魔する人を排除しようとするのは限度によっては異常かもしれないけれども…。

申し訳ないくらいに三堂さんの気持ちが理解できてしまった。

過去の自分が本当に丸ごと三堂さん過ぎて、最後好きな人に殺されたいと思うにしても、嫌われて少しでも何か感情に残りたいとか、最後カズミくんを想い続けたまま死にたいとか…理解できてしまい過ぎて辛かった。

ここまで過剰な言動になってしまったのは、若さもあったのではないのかなとも思う。

そして、正直私はこれが本当の好きって気持ちなのだとも思う。

けれども愛ではない。

ただ三堂さんのような人たちから言わせたら、これが本当の愛だと言うと思う。

最後三堂さんがカズミくんに殴られたり、何度も嫌いだとか、二度と会いたくないとか、顔も見たくないとかどんなに酷い言葉を言われても自分は好きだと言い続けられるのに、四谷さんは自分可愛さに過去にカズミくんに嫌いと言った。そんな女なのに、なんで?っていうのもとても気持ちが理解できてしまう。

三堂さんのような人から見たら、周囲の異性同士の好きの言葉なんて、女同士の友情レベルに脆くて嘘臭くしか見えていなかったと思う。

三堂さんは、本当に本当に本当に好きな人に出逢ってしまったんだろうなって思う。

自分の何かが壊れて感情や理性もコントロールできないくらいに、少しでも考えたり関わったら気が狂ってしまいそうなほどに思える、本当の意味で好きな人に出逢ってしまったのだなって…。

好きだからといっても確かにして良いことと悪いことがあるし、三堂さんの言動はハッキリ言っても異常だったけれども、本人も本当は理解しているのだけれども、それでもカズミくんを好きな感情って止められないし、邪魔する人は全員消してしまいたいし、嫌いになりたくてもなれなくて、どうしようもないって最後本当に理解しての自害なのだと思う。

だって繰り返してしまうくらいに消えないくらいに好きなんだもの。

この気持ちを理解できないとか、異常と思う人は本当に人を好きになったことがない人だと私は思う。

ただ世間でいうところの、この好きは究極の恋というもので、愛では決してなかった。

けれども自分は愛だと疑わなかった、それが悲劇なのだろうな。

「異常者の愛」

私はみんな全ての人の中にこの気持ちは潜んでいると思っている。

たまたまそのような理想の気が狂うほど独占したくてどうしようもないくらいに、好きで好きでたまらない相手に出逢えていないだけで、出逢えたら誰でも簡単になってしまうものだと思っている。

そういう意味では死ぬまでに一度でもそれくらいに好きな人に出逢えたことがある人は、相手から最終的には嫌われて振り返ったら黒歴史以外の何者でもなくても幸せなことは間違いない。

よく世間で「結婚をするなら、二番目に好きな人と結婚をしなさい」という言葉があるが、この言葉を誰が最初に言ったのかを私は知らないが、多分その人は三堂さんレベルでの本当に好きな人に出逢ってしまった人なのだろうなって思う。

三堂さんのような人の中にはカズミくん以外はもはや異性ではないから、二番とか三番とかないから無理なのだけれども…だけどこのくらい好きな人と結婚しても温度差があり過ぎて絶対に上手くいかないのだろうなって、過去の自分を振り返っても思ってしまう。

カズミくんと四谷さんは最後結婚をして子どもができて幸せそうだけれども、この2人には絶対に理解できない思いなのだろうな…こういう2人の方が幸せに長続きするのは理解できても、何故か最後三堂さんの気持ちが伝わり過ぎて私は幸せそうな2人を見てモヤモヤとしてしまった。

けれども、カズミくんの身体に刻まれた痕とか記憶とかは決して消えないことを考慮すると、カズミくんにはどこまでも迷惑でしかないけれども三堂さんの目論見というべきなのかな?が成功して良かったのかなって。。

なんだかとても難しい、、ストーカー殺人事件の犯人と同じだと言われたら、確かにそうなのだけれども…客観的に自分の過去の似たような言動や思考をこうして観ると…過去に付き合った相手にはただただ謝りたいです。

ただただ不器用な女の子が純粋に男の子を愛して気持ちにセーブができなくても好きの気持ちに押しつぶされて壊れてしまった話なので、こういう好きって形があって、作品内だけではなく現実にも存在するということを是非読んで知ってもらいたいと思った作品です。

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