映画概要
娘を殺された中学校教師が生徒を相手に真相に迫っていくミステリー映画。
少年犯罪や家庭内暴力、イジメなど、過激な内容や描写で映倫からR15+指定を受けた。
しかし設定の関係上、キャストには15歳未満の者も多くおり、それらキャストは公開後に自分が出演した本作を見ることができなかった。
第34回日本アカデミー賞では4冠を達成し、2010年度に日本で公開された日本映画の興行収入成績で第7位になるなど興行的にも成功した。
また、映画の脚本を元にしたコミック版も発売された。
(wikiより拝借)
「告白」を改めて観た感想
以前にも観たことがあったのに、何故か内容が全然思い出せなくて結局思い出せないまま最後まで観てしまった。
個人的感想としては、子どもを殺された担任教師である母親が、殺した生徒に復讐する話というのが表向きで、生徒に着眼点を向けた作品というより「母親」というものに着眼点を向けているような作品に思えた。
映画のメインテーマが子どもを殺された母親が「命の授業を始める」のように書いてあったので、解釈は違うのかもしれないが、改めて観た今回の私にはそう感じられた。
様々な母親がいて、その母親にそれぞれ子どもがいて、その子どもたちへの接し方によりまた子どもたちもそれぞれ個性があって…。
多分この作品を以前観た時は結婚前だったと思う。
その時に自分が何を思ったかは分からないのだけれども、結婚した今この年齢で観るとかなり精神的にくる作品だなと思った。
松たか子さん演じる母親の子どもを愛する気持ちや、夫への気持ちだったり、木村佳乃さん演じる母親が自分の母親に重なるところが結構あったり…。
少年Aの母親が少年Aを捨てて出て行った後に、父親が再婚したくだりの言葉は妙に納得のできる言葉だと思った。
「同じレベルがくっつく」
愛する子どもを失った母親の苦しさ、人を殺しても我が子を信じて愛しながらも最終的に自分の育て方が悪かったと思う母親。
そして捨てられたのに、いつまでも捨てた母親に固執する少年A。
実はこの作品を観る前に少し不快な出来事があって、かなりイライラを私はしていたのだが、作品を観ていくうちにこれが社会や世界の構造だなと感じてイライラして相手に何かをしようとさえ思う気持ちまでも鎮火した。
同じ母親でも色んな母親がいて、同じ子どもでも色んな子どもがいる。
結婚して夫側の親戚の子どもに頻繁に会うのだが、観察をして初めて気付いたのは、産まれた時から既に個体であり人格や性格は出来上がっているということ。
環境がそれにプラスやマイナスな何かを与えるだけで、揺るぎない何かは既に産まれた時から子どもにはあるということだ。
思いやりがあって小さいうちから相手に譲る精神を持っている子どももいれば、他人のものを奪う子どももいて。
一瞬環境なのでは?と以前は思っていたが、今となるとそれは個性でしかないのだよな。
少年Aの母親が科学者で頭が良くて子どもにも同じ道を歩ませようと厳しく当たる。
少年Aは母親に認められたくて母親が出て行ってもどうしたら認めてもらえるか考えるのだが…子どもによっては「出て行ったんだからしようがないよな」って考えて終わる子どももいるだろう。
それが個性で、何もその家に産まれたからそうなったとか、その家の環境でそうなったとかはあくまでも引き金でしかなくて、まとめてしまうと個性でしかないんだ。
つまりこの作品を観る前にネットでのやり取りで不快な思いをして「こいつは毎日不幸になれ」とか思っていたけれども、観終わった今となると産まれた時からその相手はそういう面があって、自分のことしか考えられない人間ってことだ。
少年Aは唯一の理解者で味方であったであろう女の子を殺してしまうが、多分私がイライラした相手も殺人はしなくても日々同じことを誰かにしているのが想像できた。
人の闇とは目には見えないものだ。
どんなに優秀でも良い環境に恵まれているように見えても人には必ず時々闇が訪れて、自分が壊れる音がいつか聴こえるはずだがら…
「命の大切さ」
最初はこれも映画のテーマなのかと思ったが、観終わった今となると「怒りの鎮静剤」のような作品だったなと思った。
映画は観る時の立場や状況によって見方や思考も変化させるから面白いと思う。
是非怒りマックスで誰かに殺意を抱いてる人にオススメしたい映画!