映画概要・あらすじ
ベルリン国際映画祭銀熊賞受賞を筆頭に、各国の映画祭や映画賞で高い評価を得たヒューマンドラマ。
結婚45周年を記念したパーティーを土曜に予定しているジェフ(トム・コートネイ)とケイト(シャーロット・ランプリング)の夫婦。だが、月曜に届いた手紙がきっかけとなって、山岳事故で命を落としたジェフの昔の恋人の存在が二人の間に浮き上がってくる。かつての恋人との記憶をよみがえらせてはそれに浸るジェフと、すでにこの世にはいない彼女に嫉妬を募らせていくケイト。次第に彼女はジェフに対する不信感を抱くようになり、長い夫婦生活で育んできた愛情や絆も揺るぎ始める
「さざなみ」を観た感想
結婚をして45年目を迎える夫婦の元に一通の手紙が届く。
その手紙というのが結婚前に夫が付き合っていた女性が50年前に雪山で氷漬けになって当時の27歳の頃の外見を保ったまま遺体となって見つかったという内容。
その手紙が届いてから夫は元彼女の話ばかりを妻にし、妻と2人で禁煙をしようと約束したことなども忘れたり、妻が寝た後に屋根裏に行って元彼女の写真を探したりし始める。
詳細に話を聞けば、元彼女ではなく婚約者で妻が夫の荷物をいない間に漁って写真などを調べていたら、多分元彼女は妊娠もしていたと予想。。
つまりは元彼女ではなく元妻だった可能性もある。
夫にある日尋ねたら、やはり彼女が死んでいなかったら結婚するつもりだったことなどを語る。
結婚して記念日45周年の時に色々あって、45年目に結婚記念日パーティーを友人を招いたりする予定を立てている妻がただただ観ていて辛かった。
何度も無神経に元彼女のことを話したり昔の話をしたり、現状ではなく過去の自分として存在しているかのように語る夫に我慢をして静かに話しを聞き続ける妻。
45周年のパーティー当日に夫は妻に
「君と結婚をして良かったと思っているし、感謝もしているし、愛してると」
伝えるが妻はどこか腑に落ちない表情をする。
最後友人の計らいでホールの真ん中でダンスをする2人だが、妻の顔は最後まで曇って沈んだ表情に反して、夫は晴れやかに嬉しそうな顔を浮かべて映画は終わる感じなのだが。。
45年間何事もなく幸せに過ごしている夫婦でも何がきっかけでどうなるかは分からないし、個人的には元恋人が亡くなっている相手とは結婚なり付き合わない方が幸せなのかなって思ってしまう。
周囲にもそういう女性がいたが、何かと現恋人に元恋人なら〜と話したり、元恋人の命日には御墓参りに行ったりなど、どこか話を聞くと元に恋人と3人で付き合っているような感じだった。
亡くなってしまった過去はしようがないし、どうしようもないし、理解しようとも思うが、忘れられないで現恋人に辛い思いをさせるくらいならば今後は誰とも関わらないで独身なり独り身を貫くべきだと思う。
そして、この作品の夫も自分がどれほど妻を傷付けたのかが理解していないのが「こういう男性多いよね!」というより世の中の男性あるあるという気持ちにもなって妙に腹が立った。
特に個人的に一番耳障りなセリフは、手紙を読んだ後に夫が
「彼女は当時の若くて美しい姿のままなのに自分はこんなにも老いぼれて」
みたいなことを言うシーンがあるのだが、45年寄り添って連れ添った妻の前で言うべきセリフなのだろうか。
もはや元恋人がどうこうより、若い女性が良いだけの爺いとさえ思ってしまうし、、
2人の夫婦はあまり写真を撮らなかったから、うちには飾る写真が無くて寂しいわねってある日妻が言っていたのだが、屋根裏で夫の過去の荷物を漁ると元彼女とは写真を撮りまくっていたことが判明する流れも辛い。
とにかく最後の最後まで、妻が可哀想なのと、この後の2人がどうなるかが気になる。
私なら自殺して、元彼女から自分に想い出を上書き保存して死ぬまで夫を苦しめる選択をする。
あまり観ていて気持ちの良い作品ではなかった、夫婦で実は観たのだけれども、2人して暗い気持ちになってどんよりした空気に部屋がなるので、夫婦で一緒に見る事はオススメしない作品だとは思った。
言葉では無く表情だったり、さりげない演技に全てが伝わってくるのは凄いと思った。
結婚記念45年目のプレゼントに夫に何度も時計をプレゼントしようとショーウィンドウを覗いていた妻だが、当日夫は妻にネックレスをプレゼントするが妻は夫に言い訳の言葉をして時計をプレゼントしないくだりも、もう一緒に時を歩む気持ちがないことを表現しているような気がした。
最後のダンスのシーンで結構酌を取るが終わった時に夫は嬉しそうに妻と取り合った手を上に上げて微笑んでるのに対して、妻は夫その手を思いっきり振りほどいて怪訝そうな顔をして映画が終わるというのも…セリフや言葉ではない表現力を考えたら凄い映画なのは間違いない!
ただ本当に見終わった後の後味の悪さはハンパない。
映画の宣伝のポスターって色々あるけれども、このポスターの言葉通りだなとは思った。
妻の心はめざめ、夫は眠りつづける―――――
それにしても45年間も一緒にいて情やら思い出なり色々ある中で、それさえも消し去って怒りしか妻に抱かせない夫の破壊力はかなり凄い・・・しかし、これぞ男性っていう感じもしてしまい、これが我慢出来て結婚って継続させられるものなのかもしれないとも思わされる。