あらすじ
はじめての舞台、はじめての恋、はじめて吸うタバコ――「はじめて」の先にある、私たちの運命。人魚の姉妹が海からあがってくる。辿りついたのは80年代風のワルシャワのナイトクラブ。ふたりはワイルドな美少女。セクシーで生きるのに貪欲だ。一夜にしてスターになるが、ひとりがハンサムなベース・プレイヤーに恋してしまう。たちまちふたりの関係がぎくしゃくしはじめ、やがて限界に達し、残虐で血生ぐさい行為へとふたりを駆り立てる
引用:https://filmarks.com/movies/72656
「ゆれる人魚」を観た感想
ポーランドの現代版人魚姫という感じのお話なのだけれども…最後まで観ると切なくて涙が溢れてしまう。
人魚の姉妹の姿や歌声、人々を魅了する演出や、人間の男性に人魚が魅かれていく様子などの描かれ方がとても繊細で、純真無垢な心の人魚が恋に溺れて破滅の道を歩んでいるハズなのにその破滅に向かう瞬間瞬間さえも儚いが故の美しさのような描写だった。
ミュージカルを交えてなのでところどころ歌のシーンがあるけれども、音楽も独特な雰囲気で映画に合っていてとても良かった。
人を襲う人魚と人に恋する人魚。
人魚という存在がそもそもファンタジーなものでどちらかというと美しく描かれる中で、この2つを同時に映画にこんなにも綺麗に収められるのも凄い。
好きな男性が他の女性と結ばれて泡になってしまう前に好きな男性を殺すか殺さないか。
最後画面の前でお願いだから殺して欲しいって、残されるゴールドの気持ちにもなって欲しい、人魚にとって人間との恋なんて一瞬なんだからと思ったけれども、殺そうとしつつも好きな人に抱き締められて幸せそうな顔で泡になって消えた人魚を見たら、例え周囲から見て悲恋でも本人の中で幸せならば良いのかもしれないと思った。
そしてその泡になるシーンは結構良かったのだが…、
人魚が泡になった後の男性の反応は流石に別の意味で泣きたくなった。
そんな泡になった人魚と泡だらけになった人間を見て残された人魚が裏切った男性を噛み殺したのはかなりGJ!
むしろ噛み殺すだけではなく、花嫁の女性には申し訳ないけれどももっとぐちゃぐちゃにして欲しいって思ってしまった。
いくらイケメン(人魚が恋する男性は本当にイケメン!これは人魚じゃなくても恋をしてしまうと思うレベル!)でも許せないものは許せない。
人間の男性のために色々する人魚の恋心がとにかく切なかった。
片想いや報われない恋愛経験をしたことがある女性だったら少しこの映画を観たら胸がギュッて苦しくなるところがあるかもしれない。
純真無垢な心の存在は、もの珍しさにちょっかいを出されて一瞬は魅了するもイケメンに直ぐに飽きられて利用されて捨てられてしまうというリアルな恋愛の何かも感じてしまう。
世の中のおとぎ話では、白雪姫やシンデレラのような王子様がいつか現れてお姫様になるような幸せになる話が多いけれども、実際は人魚姫や赤ずきんちゃんのような男性に痛い目に遭うことの方が多く、王子様などこの世にほぼいなくてもはや都市伝説か出逢えたら宝くじの一等が当たる確率くらいに奇跡レベルだということを大人は積極的に伝えた方が良い気がする。
そもそも現実で痛い目に遭う悲劇をおとぎ話とかの可愛らしい例えで表現すること自体がそもそも良くないのかも。
あまり悲劇さが伝わってこないし、実際自分に置き換えても母親に男は狼って言われてもピンとこなかった。
残酷な描写があるせいか年齢制限はあるものの、個人的には子どもがいたら現実を見せる意味でも見せたいと思ってしまうくらいのファンタジー要素と現実が混在した映画だった。
人魚の姿のリアルさもかなり生々しく、美しいだけではなくグロい一面もあるところも個人的には良かった。
かなり自分の好みドストライクな作品だったので、また何度か観たい。