連日熱中症で搬送される人のニュースが後を絶ちません。
この時期、高齢者と子どもは特に注意が必要です。
高齢者は喉の渇きを感じにくく、また夜間トイレに起きないように水分摂取を控える傾向もあるため、脱水症になりやすくなります。
子どもは運動などに夢中になると水分補給を忘れがちになるので大人は意識して気を付けてあげてください。
目次
正しい水分補給の基本3つを覚えておこう!
1.喉が渇く前に
喉の渇きは体が脱水を知らせる危険信号です。
喉の渇きを覚えたときは、すでに脱水が始まっているといえます。
渇きを感じてから飲むのではなく、渇きを感じる前に水分をとることが脱水防止につながります。
2.水量をこまめに
水分は腸で一定の速度で吸収されます。
一度にたくさんの水を摂取しても腸で吸収せず、水分は胃内にとどまります。
通常は2口くらい(100mℓ程度)を30分に1回、運動時は100~150mℓを20分に1回を目安に飲むと良いとされています。
3.規則正しい食事を
3食きちんと食事をすると、約1ℓの水分を食事からとることができます。
食が細かったり、ダイエットなどで食事を制限したりすると栄養不足になるばかりか、食事からとる水分量も少なくなります。
特に朝食はしっかりとりましょう。
熱中症や脱水症状にならないために習慣づけるべき水分補給のお話し
1.起き抜け、寝る前、トイレに行ったあとは水分補給を忘れない
睡眠中は水分を摂取できません。
しかし、寝ている間も発汗したり呼気から水分を失ったりするので、睡眠中や起床時は脱水気味になっています。
また、排尿により水分は体外へ出てしまっています。
起き抜け、寝る前、トイレに行ったあとは忘れずにコップ一杯の水を飲むように意識してください。
2.水筒やペットボトルを持ち歩く
身近なところに飲料水を置いておけば、こまめに水分をとりやすくなります。
外出時、水筒やペットボトルを持ち歩けば、たとえ自販機が見当たらないような場所に行っても、いつでも水分を補給することができます。
3.野菜や果物を多くとる
夏が旬のキュウリやスイカ、トマトなどの野菜や桃や梨、葡萄などの果物は水分をたっぷり含んでいます。
夏は発汗量が増えるので、これらの食材を積極的にとり入れると良いでしょう。
体を冷やす効果もあるので、取り過ぎには注意してください。
4.入浴前後にコップ一杯の水
入浴により体が温まると新陳代謝が活発になり、発汗が促されます。
1回の入浴で出る汗の量は、約200~300mℓといわれています。
入浴の前後にはコップ一杯の水を飲み、汗となって体外へ出ていく水分を補いましょう。
5.運動時はこまめに水分補給
かつて運動中は水分をとらないほうが良いとされていましたが、今ではその考えは完全に否定されています。
むしろ発汗量が通常以上に増える分、より積極的にとる必要があります。
こまめな水分補給を心がけましょう。
熱中症や脱水症状にならないための意識すべき暑さ対策
1.気温と湿度に注意
気温が上がると末梢血管の血液量が増え、皮膚から熱を逃がします。
また、汗が蒸発するときの気化熱で体温が下がります。
高温多湿だと汗が蒸発しにくくなり、熱の放出が不十分となるため、体温を下げられなくなり、熱中症のリスクが高まります。
2.室内を涼しく
熱中症の発生場所の第1位は屋外ではなく屋内で、約37%を占めています。
窓やすだれやカーテンなどをかけて直射日光を遮ったり、エアコンと扇風機を併用したりして室温を28℃以下、湿度を70%以下に保つようにしましょう。
3.通気性のよい衣服を選ぼう
衣服の中や体の表面を風が通ると、体から出る熱や汗が逃げやすくなりまる。
襟元や袖口があいたゆったりしたデザイン、吸汗性・速乾性の高い素材の衣服を選びましょう。
色は光を吸収する黒系よりも光を反射する白系がお勧めです。
4.日差しをよけよう
日なたでは頭上からの日射に加え、路面からの放射熱により体感温度が上がります。
日陰を選んで歩けば日射や路面からの放射熱を減らすことができます。
また、日傘や帽子で自分の周りに日陰を作るのも有効です。
5.暑さに鳴らしてから建物の外へ
冷房が効いた屋内から気温の高い屋外に出ると血管が拡張し、血圧が下がって頭がクラクラするなど、貧血症状を起こすことがあります。
エントランスなどで体を少し暑さに慣らしてから建物の外に出ると良いでしょう。
自宅で作れる!手作り水分補給
1.自宅で作れる!経口保水液(軽度~中等度の脱水)
軽度から中等度の脱水状態の水分補給に適しているのが経口補水液です。
市販品もありますが、水1ℓに食塩小さじ1/3杯、砂糖大さじ4と1/2杯で作ることが可能です。
2.今話題!おいしい水ゼリーの作り方
水(できればミネラルウォーター)200mℓを鍋に入れて火にかけ、80℃ほどになったらふやかしたゼラチン3gを溶かします。
熱が取れたら容器に入れて冷蔵庫で固めたら、美味しい水ゼリーの完成です!
3.深部体温を冷やすアイススラリー
スラリーとは液状の氷のこと。
体を芯から冷やすことができます。
スポーツドリンクを凍らせてミキサーで砕くだけで完成です。
水だけで作るとクラッシュアイスになり、液状にはならないので注意。
水分補給には向かない飲み物
1.お酒は水分補給に不向き
お酒を飲むとトイレが近くなります。
これはお酒に利尿作用があるからです。
このときの尿は、飲んだお酒の水分が吸収されたものではなく、主に血液中の水分です。
そのため体内では、お酒を飲む前よりもむしろ脱水症状が進むため、水分補給には適しません。
2.カフェインが少ない飲料を選ぶ
コーヒーや紅茶、お茶などに、多くふくまれるカフェインもお酒と同じように利尿作用があります。
番茶や玄米茶などの低カフェイン飲料や、麦茶やそば茶、杜仲茶、ルイボスティーなど、ノンカフェインのものを選びましょう。
3.塩分と水だけでは吸収率が低下
激しい運動をしたりして大量に汗をかくと、水分だけでなく塩分も失われます。
その場合は水分に加え、塩分の補給も必要ですが、これら2つだけでは吸収は進みません。
糖分(ブドウ糖)も一緒にとることで吸収率が高まります。
汗を沢山かいたときは、塩分と糖分を合わせたカフェインの少ない飲み物を飲むようにしてください。
引用元:class A Life 2019 7月号より