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「彼女がその名を知らない鳥たち」あらすじ
15歳年上の佐野陣治(阿部サダヲ)と共に生活している北原十和子(蒼井優)は、下品で地位も金もない佐野をさげすみながらも、彼の稼ぎに依存し自堕落に過ごしていた。ある日、彼女は8年前に別れ、いまだに思いを断ち切れない黒崎に似た妻子持ちの男と出会い、彼との情事に溺れていく。そんな折、北原は刑事から黒崎の失踪を知らされ、佐野がその件に関係しているのではないかと不安を抱き……。
引用:https://movies.yahoo.co.jp/movie/360115/story/
「彼女がその名を知らない鳥たち」感想
松坂桃李さんが「あー」と言わせる行為
蒼井優さんの出ている映画がとにかくいつも気になるため視聴をしたのだけれども、R15指定になっていただけに性描写はあると理解はしつつもここまで松坂桃李さんとの絡みのシーンが生々とは思わなかった。
原作には多分ないであろう描写なのだが、性行為の際に不倫相手である松坂桃李さんが蒼井優さんに「あーって言って」と要求して行為をする。
この映画を観た男性は自分はしたことがないが故に驚いた人も中にはいたらしいのだが、私は一番最初の処女を捧げた相手がそれをする人だったのでなんとも言えない懐かしいけれども思い出したくない気持ちにはなった。
結論としてこれをさせる男と不倫をする男は総じて『クズ』と認定しても良いのではないだろうか。
説明はする必要もないとは思うがこの言わせる行為の思惑としては、「あー」と言わせながらの行為の流れで「あー」の声が歪んで乱れるところに興奮を覚えるというものである。
そういうところも含めて、映画はかなり全体的に男女の生々しいやり取りの描写が散りばめられて、世の中の恋愛においての普通では観ることのない歪んだ恋愛の姿も上手に描かれていたように思う。
ずっと忘れられない突然消えた元恋人の存在
この映画のキーワードは蒼井優さんが演じる十和子が元恋人でもある竹野内豊さん演じる黒崎を忘れられないというところがポイントなのではないのだろうか。
散々酷い目に遭わされて、愛する黒崎のために嫌なこともさせられてあげくの果てに他の女と結婚するからと簡単に十和子を黒崎は捨てようとした・・・。
そんな黒崎をいつまでも忘れられない十和子。
そんな十和子をずっと傍で献身的に支える十和子を愛する15歳年上の阿部サダヲ演じる陣治。
自分に酷いことをした黒崎との良い思い出の動画などを何度も観たりいつまでも忘れようとしない十和子。
映画のキャッチフレーズは『共感度ゼロの最低な女と男が辿り着く”究極の愛”』
この映画の十和子と陣治に共感度ゼロなのかというのも衝撃が走る・・・。
いつまでも忘れられない、好きな男性のために心が壊れるまで献身的に尽くす、そしてそんな十和子を検診的に尽くす陣治の気持ちは共感度ゼロなのか。。
時々人との会話で「そこまで人を好きになったことがない」という言葉を耳にする。
私はいつしか恋愛感や恋愛の会話は2次元キャラ以外では語らなくなった。
好かれたくて好かれたくていつか一緒になれると信じて、一緒にいる時はいられたら幸せで・・・そして裏切られ、その裏切られて傷付いた気持ちが治りかけた頃に再度再び連絡をしてきて、十和子がまだ自分を好きだと理解した上で酷い言葉を伝える黒崎。
男の元恋人がいつまでも自分を忘れていないと思い後に連絡を取る行為は正しいようで間違えている。
結果十和子は壊れてネタバレになってしまうけれども、黒崎を殺してしまう。
壊れて多分頭が真っ白になった十和子はそのまま自分が黒崎を殺したことを忘れてしまい、ずっと傍にいてくれている陣治が黒崎が殺したのではないかなどと色々思ったりして、十和子を懸命に思ってくれる陣治に酷い言動を何度もする。
しかしこの言動は家族に甘えているが故に酷い言動をする子供と同じで、心を許しているが故にできる行為なのではないのかとも考えられる。
満たされない毎日、どこか壊れている十和子、黒崎との思い出。
そんな十和子だからこそ、松坂桃李さん演じる水島という妻子持ちの糞男に騙されてしまったのではないのだろうか・・・。
ストーカーのような時には家族のように傍にいる陣治の存在
とにかくこの映画の阿部サダヲさん演じる陣治は見た目が汚い。。
画像引用:https://tvfan.kyodo.co.jp/feature-interview/interview/1125859
なんで十和子はこんな人と一緒にいるの!?と映画の最初にとても驚いてしまったのと、十和子にやたらと話しかけて気遣う様子もどこかオドオドしていて顔色を伺っていて奇妙にとても思えた。
そしてそんな陣治にあり得ないほど態度がでかく酷い言動を繰り返す十和子にも最初は引いてしまうが、そんな十和子を観ていくうちに私自身は自分の過去を観ているような・・・まだ自分の中にある何かを観ているようなそんな気持ちにはなった。
一生懸命に恋愛をしてもことごとく利用されて騙される十和子。
そんな十和子の良いところや本質などをちゃんと見た上で愛して一緒にいてくれる陣治。
陣治が十和子に関して行動や黒崎に関してのことなどを心配する様子はとても異常でまるでストーカーのような描かれ方をしていたが、最後まで映画を観るとその言動全てに納得がいきただただ十和子を愛して心配するが故の言動だったのだとは思う。
最後十和子は黒崎を殺したのが自分だということを思い出してしまう。
「十和子が黒崎にしたことを思い出さないように」
「十和子が壊れてしまわないように」
映画の最後で陣治はこのことを十和子に伝える。
十和子はもっと早くに思い出していれば良かったというけれども、陣治は
「思い出していたら十和子が狂うか死ぬかしていたかもしれないから自分を守るために、生きていくための本能が忘れさせてくれていただけだから」
と言う。
最後十和子に陣治が語る言葉を聞いて涙が零れない人っているのだろうか・・・私はもはや号泣レベルだった。
陣治は最後なぜ死んだのか
十和子が生きるのが辛いと言ったのと生き続けなければいけないという思いからなのかなと個人的には思う。
十和子の罪を背負って死ぬというのと、そんな自分の死を無駄にしないために十和子に生き続けてもらいたいという願い故なのかなって。
個人的には愛ってこういうのではないのだろうかと思う。
竹野内豊さん演じる黒崎や、松坂桃李さん演じる水島は世間では既婚者だからとかどうこう以前にも絶対に世の女性は阿部サダヲさん演じる陣治よりも選ぶ女性は多いと思うけれども、現実はこういうことの方が多いのではないだろうか?
見た目とか肩書や職業や所持金よりも、もっと選ぶべき相手の大切なところってあるのではなかろうか。
そして、黒崎や水島のような男性は女性の心を殺しているのにそのことが罪にならない事実を私は以前から不思議に思う。
性犯罪や不倫や不貞行為や虐めなども含めて精神的殺人はもっと肉体的殺人同様厳しい処罰を受けるべきではないのだろうか。
だって、十和子は思い出していたら自殺していた可能性もあるのだから・・・黒崎や水島の肉体を傷付ける行為は十和子に2人がしたことを考慮すれば悪いことのようには正直思えない。
この作品が歪んだ愛と呼ぶのならば、歪んでいない正しい愛ってどういうものなのだろうと思ってしまう。
無償の愛こそが愛なのだろうか?
引きこもる少し前からネットの情報やテレビや他人との会話から理解ができないと思うことが多々あって、考えないように、記憶から消えてしまえば、全然消えてくれないを何度か繰り返して。
私が生きている支えは十和子にとっての陣治のような夫の存在のみです。
十和子のように壊れてこれ以上迷惑をかけないように・・・見終わって自分の狂い始めている様子を少しでも抑えたいと思いました。
最近また生きるのがしんどいなって感じる私にはとても心に色々と響く作品でした。